EVENT 23.02.06

高校生向けの実習体験に参加して

高大接続教育-八王子学園八王子高等学校

私は、12月16日に行われた高校生を対象とした実習体験に学生サイエンスコミュニケーター(SC)として実習の進行に初めて参加しました。以下にその概要や様子、私が感じたことなどを紹介します。

 

実習概要

薬には色も形もさまざまなものがありますが、それぞれに狙った症状に効くためのたくさんの工夫が施されています。今回の実習体験は「ただ溶けるだけじゃない!薬がまとう科学の工夫」をテーマに、実際に市販されている医薬品を使った実験を行いました。2種類の薬をpHの異なる溶液に溶かしてその違いを考察し、またカプセルや有核錠の中身を観察したりすることで、薬が目的にあった働きをするためにどのような工夫がされているのかを考え、班ごとに発表して全体で結果と考察を共有ました。その後本学の薬物送達学教室の高橋葉子先生による解説が行なわれました。

 

実習の様子

今回の実習では時間を活用して二つの実験を同時進行で行うことで、実習を効率よく進めることができました。

一つ目の2種類の薬をpHの異なる溶液で溶かす実験では、温めながら振盪する装置を使いましたが、参加者の高校生は大学ならではの装置に興味津々でした。薬を溶かしている間の待ち時間にもう一つ、カプセルや有核錠の中身の観察を行いました。

普段は見ることができない薬の中身や構造にはたくさんの発見があり、観察中には驚きの声や様々な感想が飛び交いました。実験結果を考察する場面では、学生SCが高校生と一緒に結果を振り返りながら考えを整理していきましたが、表面的な観察結果にとどまらず薬の作用と体の部位ごとの環境にも言及した鋭い考察が印象的でした。

 

企画・準備にあたって心がけたこと

薬に施された工夫にはどんなものがあるか、またそれにはどんな理由が隠されているのかを実感してもらえる実習を企画したいと思いました。しかし、実習の時間には限りがあり、充実した内容のまま実験工程をどのように短縮できるか考えなければなりませんでした。そのために実験内容だけでなく使う装置や器具についても事前実験を行い、検討を重ね、試行錯誤を繰り返して当日に臨みました。

 

今後について

私たち学生SCは、中高生が科学に興味を持ち、楽しんでもらえるような実習を今後も計画していきたいと思っています。中高生に”教える”というよりは、科学に興味をもつ同世代として一緒に”考える”ことで、私たち自身もまた一歩、科学に対する知識や理解を深めることができると考えています。今後とも学生SCの活動にご注目ください!

 

 

 

 

 

 



 生命科学部 2年 鈴木麻心