TAMAリケジョ育成プログラム

ロールモデル集1-③ 自分の開発した商品が店頭に並んで、美味しいという口コミを見るときがとても嬉しい

武内 夏実さん

なぜ理系に進もうと思ったのですか?

中学時代に、理科の先生が身近な生活に絡めながら化学反応などを教えてくれたことや、塾の数学の先生の授業が面白かったことがきっかけで理系科目に興味を抱きました。

その中で、普段の授業とは別に、フィールドワークや大学教授の講義などを通して科学的な教養を身につけることができるプログラム(SSH:ス―パーサイエンスハイスクール)を採用している高校があると知り、受験して入学することができました。

高校時代は経済にも興味を持ち、文系進学も考えたのですが、生物の授業が好きだったことや、SSHでショウジョウバエの交配実験を経験する中で研究に興味を持ち、理系に進学することにしました。

学部選定も悩んだのですが、生物の先生から、新しいものを探索するのが理学部、成果を生かすことを考えながら研究するのが農学部、という話を聞き、自分の興味は後者であったため、農学部に進学することにしました。

大学時代のことを教えてください。

大学時代は生物系の他に、地学や物理など理系科目全般の講義だけではなく、畑作業を行う農業実習や牛の世話を体験する酪農実習がありました。また、滴定や複合成分の分画などの化学実験や、昆虫のデッサンや動物の解剖などの生物実験も行いました。

様々な講義を受ける中で、生化学や食品化学に興味を持ち、4年生で研究室に配属された際には、花粉症マウスを用いて乳酸菌と花粉症症状の軽減について研究しました。この研究がきっかけで、疾患予防に対する食品の可能性に興味を持ち、「健康」をテーマに食品メーカーを中心に就職活動を行うことにしました。

できる限り早く、消費者に近い環境で研究することに興味があったため、大学院には進学しませんでした。

どんなお仕事をされているのでしょう?

2017年に工場の生産や現場管理を担う生産技術職として採用され、1年目は九州工場に配属されました。製造現場や品質管理の職場で実習をし、グループ会社で新しい製造ラインの立ち上げ業務も経験しました。

2年目からは商品開発研究所に異動になり、ソフトクリームや甘いスプレッドを開発しました。現在はマーガリン類全般の商品づくりだけではなく、カテゴリーを横断して技術検討も行っています。日々の業務では、配合検討やスケールアップに向けた製造条件の検討、試作品の分析などを行っています。将来は商品のコンセプト企画やマーケティングにも携わりたいと思っています。

仕事の「ここがおもしろい!」を教えてください。

自分の開発した商品が店頭に並んでいるときや、美味しいという口コミを見るときがとても嬉しいです。マーガリン類は嗜好品なのであまり「健康」のイメージはないかもしれませんが、食べた時にほっと癒されるというような「心の健康」に貢献できているのではないかと考えています。コロナ禍で色々と制限されることが多く、ストレスが溜まる世の中ですが、商品を通じてお客様のQOL向上の一助になりたいと思っています。

仕事とプライベートとの両立はどうでしょう?

仕事とプライベートはメリハリをつけることを意識して、どっちも全力で楽しむことで、仕事のモチベーションを上げています。

中高生に「理系のススメ」をお願いします。

実は進路選択が始まる時期に「自分はこれをやりたい!」と明確に答えられる人は少なくて、漠然とした不安から自分の進路について考えることから逃げてしまう人がほとんどだと思います。ただ、進路は他人ではなく、自分で決めるもの。何が好きで今後何に関わっていきたいか考え続けることでふと見えてくるはずです。

そして自分の興味を知るため、広げるためには、家族や友人からどう思われようと、まずは色々なことに挑戦する姿勢が大事だと思います。

中学や高校の勉強はテストで良い点数を取ることに注力しがちですが、自分で考えながら「勉強する楽しさ」を知ることができると良いと思います。理系科目の授業には、その「自分で考えて実行するプロセス」があって面白いので苦手意識を持たずに楽しんでもらいたいです。