EVENT 23.02.16

薬の溶け方を見てみよう! 

高大接続教育-出前授業-東京純心女子高等学校

2022年11月28日(月)に東京純心女子高等学校において、出前授業『ただ溶けるだけじゃない!錠剤がまとう科学の工夫(マジック)』を実施しました。

この出前授業は、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」に採択された「TAMAリケジョ育成プログラム」の一環として本学の学生サイエンスコミュニケーター(以下、学生SC)が参加して行ったものです。

 

授業概要
みなさんは、飲んだ薬が体内でどのようになるのか、考えたことはありますか?
今回は、本学の薬学部 個別化薬物治療学教室 教授 降幡知巳先生による『薬の溶解』をテーマとした授業を行いました。薬にはさまざまな種類があり、目的に応じて溶け方が違っています。目的以外の場所で薬が溶けてしまった場合、体に悪影響を及ぼすこともあります。
薬が体内で目的の場所まで溶けずにたどり着くためには、どのような工夫(マジック)がなされているのでしょうか。

今回は生徒さん1人ひとりに、2種類の錠剤(①と②)を3種類(A、B、C)の溶液で実際に溶かしてもらい、その溶け方の違いについて観察、考察をしてもらいました。

 

 

授業の様子
授業が始まってすぐの事前講義では、みなさん大学の先生の初めての授業に緊張していたようで、実習を楽しみ、理系に興味を持ってもらえるか不安でした。しかし、生徒さん自身で薬が入ったチューブを両手に持ち、40分ほどひたすら振り続けて薬を溶かす作業が始まると、楽しそうにチューブを振っている姿が見られ、実習室内の雰囲気が明るくなりました。
考察では、溶液A、B、Cの違いについて、活発な意見が次々に飛び出し、少し難易度が高い降幡先生からの問題にも、正解に近い意見が生徒さんより出されました。
発展的な内容も含んでいましたが、事後講義は、薬が溶ける工夫(マジック)について学びながら、薬の構造から体内環境までいろいろと考えるきっかけになったのではないかと思います。
今回の実習のテーマは、私にとっても初めてのものでした。
降幡先生のお話を聞きながら、薬が目的の場所で『溶ける』ことのほかに、目的以外の場所で『溶けない』ことも重要なのだと知りました。何気なく飲んでいる薬ですが、溶けること以外にもたくさんの工夫(マジック)が隠されているのだろうなと興味が湧きました。
また、私たち学生SCからだけでなく、生徒のみなさんからも積極的に声をかけてくださったので、実習以外にも進路選択や学生生活などの話も弾み、とても楽しい時間を過ごせました。

 

学生SCの活動について
学生SCの活動では、科学の知識だけでなく、人前に立って自分の考えや意見を人に伝える力も身につけることができます。そして、それらの力はコミュニケーションに受動的であった私が、出前授業を始めとしたSC活動で参加者との交流において自分からコミュニケーションを取ることを心がけるきっかけにもなり、自然と対話ができるようになったと感じています。

さらにこの力を向上させることができるように、今後も学生SCメンバー全員で協力しながら頑張って活動をしていきます。


生命科学部 3年 岩波 奈那江