知る・学ぶ

微生物の数

渡邉 一哉
写真 バイオフィルム表面

微生物はどこにでもいます。例えば、皆さんの肌1cm2には1000匹以上の微生物がいます。川や海の水1ml中には少なくとも10万匹の微生物がいます。土1gの中には数億匹以上の微生物がいます。さらに、皆さんの腸の中には約100兆匹の微生物が住んでいるといわれていますが、人間の細胞の数が約60兆個ですので、それよりはるかに多い微生物が私たちの体内で暮らしていることになります。つまり、日ごろは目に見えないので気付くことがありませんが、微生物は地球上のどこにでもおり、我々は微生物と密に付き合いながら暮らしているのです。

微生物とは、顕微鏡などを使わなければ見えない小さな生物の総称です。これには後生動物、原生動物、真菌類、細菌(バクテリア)など様々な生物が含まれますが、数として最も多いのはバクテリアです。今までに10000種程度のバクテリアが培養・保存されてきていますが、最近の研究では、これは環境中のバクテリア種の0.1%にも満たないと推定されています。動物や植物の種は数十万から100万程度ですので、それよりはるかに多様なバクテリアが地球上に存在することになります。これらのバクテリアは、多様な能力を持っています。例えば、酸素がなくても死なないもの、100℃以上でも生育するもの、石油を食べるものなど。最近、有機物を燃料に発電するバクテリアも見つかってきました。一方、依然として地球上に存在する微生物の大部分(99.9%以上?)は未知のものです。未知の微生物にロマンを求め、新しく発見された微生物を我々の生活に役立てようとする、これが微生物学の醍醐味です。