今回紹介する本は「はたらく細胞」です。漫画やアニメで既にご存知な方もいらっしゃるかもしれません。
私たちの体には何兆個もの細胞が存在しており、それらは休まず常に働いています。これらの細胞について、教科書や参考書で必死に学習しようとすると、非常に難しく、理解しにくいと思います。
しかし、この本を読むことによって、細胞はもちろん、身近な自分の体や病気についても、気軽に学ぶことができます。特に、生物が苦手な方や覚えることを苦に感じている方は、単に一つ一つの細胞を暗記するよりも、格段にイメージしやすいので、是非お勧めしたい一冊です。
この本では、赤血球、白血球やマクロファージ等の免疫細胞が擬人化されたキャラクターが登場します。我々の体内で起こる出来事が細胞たち目線で描かれています。
私は元々免疫のシステムや細胞に興味を持っていましたが、この本との出会いは、高校時代の生物の先生からの紹介でした。当時は授業の復習として読んでいましたが、読み終わる頃には細胞の凄さや病気の予防について考えるきっかけになりました。
多数の免疫細胞がいる中で、私が最も好きな細胞は免疫細胞の中で多くを占める好中球です。作中において、好中球の中心人物として描かれるU-1146番は、常に冷静沈着で、的確に敵を排除するという頼り甲斐があります。その一方で、ウイルスからの攻撃を受けている赤血球を救出するといった、仲間思いで親近感が持てる細胞です。
また、細胞目線で病気や治療を考えた際に、ウイルス性の風邪一つを取っても細胞にとっては、完治するまでに非常に多くの過程が必要で大変忙しく働いていることがわかりました。
さらに、私たちが当たり前と思って行う薬物の投与やワクチン摂取は、彼らからすれば「異物」であり、既に病気に警戒している所に追い討ちをかけるように新しい危険が迫ってくることになるため、細胞達が混乱している場面も細かく描写されています。個性的で面白い細胞が、私たちの体内を日々駆け巡って働いていると思うと、非常に健気だとは思いませんか?
このように、「はたらく細胞」は生物に詳しくない人でも親しみやすい作品です。最初はキャラクター紹介やあらすじを眺めることから始めて、細胞について楽しく学んでみて下さい。
最後に、本作に関連した「はたらく細胞BLACK」を紹介します。これは、「はたらく細胞」とは異なる細胞が登場し、飲酒や喫煙等といった生活習慣病が主な「敵」となります。不健康な人の体内で働く細胞達の未来がどうなってしまうのかをより身近に感じることができますので、興味のある方はこちらも読んでみて下さい。