なにかがわからない時、どうやって情報を収集したらよいだろう。小中高校生の、探求的な学習でも情報の収集は必須な学習課題となっている。適切な情報収集の方法は小学生と中高生、大学生など、教育段階によって多少違っているかもしれないが、重要な点は同じである。
学習の課題によっては、現地調査や聞き取り調査、アンケート調査、実験など文献調査以外の調査を行う場合もある。それでも、どの様な場合でも最初は文献調査を行うのが良い。文献調査だけが求められる場合も多いと思う。文献には、人類の持っている知識がまとめられているからである。
文献調査には、教科書や参考書、様々な図書や、インターネット上の情報、学術論文などの調査が含まれる。大学生までの教育段階で学術論文を自分で読むのは難しいが、学術論文をきちんと読んでいる専門家の解説(講義、講演、ネット情報、書籍、総説等)が頼りになる。
小学生の場合
なにかがわからない時、小学生であれば、まず教科書を読むのが良い。教科書には様々な事柄がわかりやすく書いてある。もう少し知りたいことがあれば、学習参考書が役にたつ。学校や塾の先生、家族や友達のだれかに聞くのもよい。学校や近くの図書館の司書や係員に聞くと参考になる本を教えてくれるかもしれない。インターネットで調べるのも良い。ただし、インターネットの情報は正しく無い場合もあるので、内容が正しいかどうかは、だれか大人の人に聞いて確かめた方が良い。
調べるというのは、ともかくも何か分からないことを調べるということなので、調べる方法にはこだわらない方が良い。自分がやりやすい方法で調べよう。
中高生の場合
中高生の場合にも、調査の出発点として教科書や参考書が役に立つ。教科書や参考書で基本的な語句と事項を調べることができる。重要な語句がわかれば、インターネットの検索ソフトで検索すると、解説や図書が見つかる可能性が高い。
検索で見つけたサイトや本などを読んで、できるかぎり理解しよう。ただし、難しいことは理解できなくても良い。中高生ぐらいまでは、すべては理解できないということもまた普通のことである。
大学生の場合
大学生の場合にも、教科書の章末問題であれば、教科書を丁寧に読み返すことが基本である。答えやヒントはその章に書かれているはずである。
大学生がさらに調査をする場合にも、インターネット検索が便利である。しかし大学生であれば、単に情報を見つけるだけではなく、その信頼度にも気をつけて欲しい。インターネットで見つかる情報の正確さは保証されていない。大学生は情報が信頼できるかどうかを判断する方法と力を身につける必要がある。
まずは、サイトが信頼できるかどうかが問題になる。ウィキペディアは、便利ではあるが、だれが書いたか分からないので、必ずしも信頼できない。一般には、学術団体や学術組織(大学等)のサイトが信頼できる。その学問分野の学術論文をきちんと読んでいる研究者が書いているかどうかが、内容を信頼できるかどうかの基準となる。
ChatGPTの回答をコピペするだけだと間違いの可能性がある
大学生のレポートであれば、調査の出発点としてChatGPTは役に立つ。 ただし、Chat GPTは自然言語処理技術を用いた対話システムであり、その回答が正しいという保証はない。ChatGPTに引用文献を聞くと、あたかも文献であるかの様な情報を答えるが、その文献が存在しない場合や、著者が存在しない場合も多い。Chat GPTの回答を文章単位でGoogle検索して、根拠となる文献や情報を探しだす必要がある。そして、記載内容が正しいかどうかを参考文献で確認する。
レポートには、ChatGPTを使った場合にはChatGPTを使ったことを記載する。さらに、記載内容ごとにサイトのURLや文献情報を記載しておく(名誉教授コラム「引用文献はなぜ必要なのでしょう? Chat GPT」参照)。サイトや図書の内容を正確に引用していれば、内容の正確さはサイトや文献に依存していることになる。しかし、もし引用した内容が不正確であったとすれば、それはやはり不正確であるということに変わりは無い。
大学生は、正確な情報と不正確な情報を見分ける力をつける必要がある。その点では、その情報が世の中で知られている知識の体系と矛盾しないかどうかが最も重要である。その判定のためには、ネットや文書で得られた情報が、大学の教科書や参考図書、教師の講義内容とつじつまがあうかどうかが鍵となる(名誉教授コラム「知識の体系と批判の精神」参照)。特に教科書の内容は頼りになる。教科書の執筆者は専門家であり、その教科書を採択した教師もまた専門家のはずだからである。様々な情報のなかでも学術論文をきちんと読んでいる専門家の解説(講義、講演、ネット情報、書籍、総説等)が最も頼りになる。