森林の面積は、世界の陸地の3割を占め、特に日本では国土の7割に相当します。このことからも推察できますが、植物に特異的に存在する脂質が、地球上で最も多量に存在する脂質となります。
植物葉緑体内で光合成の電子伝達系や光リン酸化反応を担うチラコイド膜は、植物の膜系のうち、最も豊富に存在します。したがって、チラコイド膜に最も多く含まれる脂質、モノガラクトシルジアシルグリセロール(monogalactosyl diacylglycerol, MGDG)が、地球上で最も多量に存在する脂質と言われています。なお、チラコイド膜を含め葉緑体の膜系の脂質は、主にMGDG等の糖脂質で構成されており、動物等の非光合成生物の膜脂質が主にリン脂質であることと対照的です。
植物は、生育する土壌環境中のリン源が不足しているため、リン脂質よりもむしろ糖脂質を合成するよう進化したのではと考えられています。
投稿日:2022年10月14日