私が化学に興味を持ったのは、小学3年生の時です。きっかけは、兄が元素の周期表を見ながら「スイヘーリーベー・・・」と口ずさみ、親とどちらの方がたくさん覚えられるかを競い合っていたことでした。当時の私は、「水兵? 水中で戦う兵士かな?」程度にしか思っておらず、水素やヘリウムについて何もわからずにいました。兄が夏休みの課題で『スーパー理科事典』なるもので調べ学習をしていた時、そこに元素周期表が載っていたことを思い出し、初めて「化学」と「周期表」がつながりました。さまざまなものを構成する元素に魅力を感じ、化学に興味を持ったのは、それからです。
ところで、周期表って、よくできているなって思いませんか? 性質の似た元素が縦に並び、最外殻の電子数が同じ元素は横に並びます。「それだけじゃん」って思うかもしれません。でも、例えば原子の基本的な性質である電気陰性度との関係を考えながら周期表を見てください。すると、周期表で右に行くほど、また同族では上に行くほど、電気陰性度が大きくなることがわかります。こうした周期表と電気陰性度のような一見関係のなさそうなもの同士をつなげたように、持っている知識をつなげていくことによって、化学に対する興味を膨らませていくことができると私は思います。
私は現在、学生サイエンスコミュニケーターとして活動しています。中学生・高校生が理系分野に興味を持ち、理系への進路選択を考える機会を提供するとともに、保護者や教員が理系進路に理解を深め、支援する環境を醸成するためのきっかけをつくることが、目的です。具体的には、主に中高生向けの実習の企画と、オープンキャンパスでの活動をしています。中学生・高校生に対して行う実習でも、生命科学部や薬学部の学生が実習で学ぶ内容と重なることも多いため、それを中学生・高校生に分かりやすく伝え、かつ興味を持ってもらうためにはどのようにしたらいいのかと考えます。これらの活動を通して、中学生・高校生だけではなく、さまざまな人が化学に興味を持ってくれたらと私は考えています。