私が科学を「⾯⽩い」と初めて思ったのは中学⽣の時、最初の理科の授業で、原子について話してくださった先生から「この世の中にあるものをどんどん⼩さくしていくと、最終的には原⼦にたどり着く」という⾔葉を聞いたことでした。まさかこの世の中にある⾦属やヒトの体が同じ原⼦という存在に⾏き着くとは思ってもみなかった私は、強い衝撃を受けました。陽⼦・中性⼦・電⼦というたった三つの粒⼦でこの世界の物質が構成されていると知り、科学に興味を持ち始めました。
次に驚かされたのは、⽣物の授業でした。ヒトの体の中では、私たちが⾃覚していないにもかかわらず、驚くほど機械的かつ効率的にさまざまな仕組みが働いていると知ったのです。⼼臓の⿎動も、呼吸の仕組みも、私たちがその詳細を知らなくても、⾃然に⽣きていくことができます。私のことは⾃分が⼀番理解しており、私⾃⾝ がこの体を動かしていると思っていたのに、実際には体を動かしている多くの機能について、私はほとんど何も知らないと気づかされました。「⾃分の体なのに、こんなに知らないことがあるなんて信じられない。なんて⾯⽩いんだ」と思い、⽣物の体の仕組みや⽣態などにも関⼼を抱くようになりました。
この時に知った驚きや楽しさを伝えたいと思い、今⼤学では学⽣サイエンスコミュニケーターの活動を⾏っています。活動では、中⾼⽣に向けて科学の楽しさを伝えることを⽬的に、学部や学科の内容に合わせてわかりやすく、楽しんでもらえる展⽰を考え、オープンキャンパスなどのイベントを準備しています。実際に中高生が楽しんでいる様⼦を見ると、達成感を覚えます。現代は、何も知らなくても⽣きていける時代です。専⾨的な知識がなくても、詳しい⼈に任せて従っていれば⽇常⽣活は問題なく回るかもしれません。しかし私は、「知らなかったことを知る」ことで、世界がぐんと解像度を増して⾒えるようになり、こんなにも⾯⽩くなるのだと感動しました。この世界には、私がまだ知らないことがたくさんありますし、⼈類全体ですら解明していないことも数多くあります。それでも私たちは⽇々を⽣きていけますが、だからこそ、知ることで世界をより豊かに、⾯⽩く⽣きることができるのではないかと感じています。これからも私は学び続け、科学の魅⼒をもっと深く味わっていきたいです。
(2025FALL CERT12より)