若⼿研究者コラム

本学での研究活動について

佐藤 礼子

本学を初めてグーグルマップで調べたとき、「こんな山の中に通勤できない!」そう思いました。しかし、東京薬科大学に着任してはや9年、地図でみるととても通勤できないように思えた本学も、駅からバスで10分程度で着きますし、バスのない日は30分程度ハイキング気分で歩くことで辿り着きます(本学裏にある平山城址公園周辺にはハイキングコースが整備されています)。歩くことでポイントが加算されるようなゲームアプリをスマホにいれておくと一石二鳥です。健康にも良いので一石三鳥くらいかも。

このように自然に囲まれている本学ですが、研究環境としてもとても良いと思います。都心のような遊びの誘惑が少ないので落ち着いて研究に集中できる。薬学部、生命科学部共に割と近い分野の研究室が集まっているので共同機器が充実している。毎年多くの学生さんと研究を行いますが、皆やる気があり一生懸命研究に取り組んでくれます。

研究室で学生さんと実験をしていると、自分では絶対にやらないような実験(良い結果はでないだろうと自分が思う実験)を学生さんが進めてくれて、思わぬ良い結果を出してくれることがしばしばあります。基本的な技術を教えたら、後はある程度自由に実験を任せて、学生が出してくれる意外な結果を楽しむ、そんな感じで研究を進めてきました。

我々は現在、がん細胞が治療薬に対して耐性をもってしまう「薬剤耐性」に関わる分子機構を解析し、がん細胞の「薬剤耐性」を阻害するための治療標的を同定し、治療薬を開発することを試みています。学生達と共に進めた研究により、がんに特異的な治療標的タンパク質を同定したことから、その研究成果がみとめられ、学会における奨励賞を2つ受賞することができました。また、今後の治療薬の開発にはいくつかのベンチャー企業が参画してくれ、日本医療研究開発機構(AMED)の研究予算も獲得することができました。よい薬が開発できるようこれからも研究に邁進していきたいと思います。