東薬植物記

ジンジャーと植物園

三宅 克典

海外の植物園の名前をよく見てみると、多くが「…ガーデンズ」ということに気づくと思います。これは、様々なテーマに沿った「ガーデン」が集まって成り立っているからです。そして、シンガポール植物園やインドネシアのボゴール植物園など、東南アジアの著名な植物園には、ショウガやウコンなどのショウガ科の植物を中心に展示するジンジャーガーデンが設置されています。ショウガ科の植物の花はとても美しいものが多く、個人的にとても好きなグループです。

ショウガ科には、代表格のショウガをはじめとして、ターメリック(ウコン)やカルダモンなどスパイスとしてよく知られているものが含まれます。国内だとミョウガや沖縄のムーチーを包むゲットウが有名ですね。生活で用いられるものが多く、フィールドワークでは地域ごとに様々なショウガ科植物を見かけます。一方で、植物調査が十分に行われていない地域にも分布するため、現代でも多くの新種が発表されています。

以前、国立科学博物館植物研究部からまだ開花したことがないショウガ属植物を預かったことがあります。本学薬用植物園で大きく育てて開花にこぎ着けたのですが、なんといままでに発表されたことのない植物でした。本種は科博の田中伸幸博士によってZingiber procumbensの学名が与えられ、いわゆる新種として発表されました。花のみならず果実も非常に美しく、裂開すると写真のように自然のものとは思えない色彩をしています。

このように、植物園はただ植物を展示する場所ではなく、様々な研究活動に活用されてきました。前述の世界の植物園のジンジャーガーデンには名前が表示されていないジンジャーがいくつもあり、今後の研究によっては新種として発表される日が来るかもしれません。

東京薬科大学薬用植物園では、展示温室内で多様なショウガ科植物を展示しているほか、初夏から秋までは国内唯一(?)のジンジャーガーデンが屋外に設置されます。植物説明板とともに美しいジンジャーの花をぜひお楽しみください。

(2025 FALL CERT12より)

投稿日:2026年01月09日