学生によるサイエンスコミュニケーション

かがくのちからってすげー!

SMALL TALK about SCIENCE

「かがくのちからってすげー!」

これが、私が初めて「科学」という言葉を知った時だと思います。あまり記憶にはないですが、ポケットモンスタープラチナというゲームをはじめてプレイした時に、とあるNPC(Non Player Character)が、こう言っていました。当時三歳の自分は何をいっているのかあまりわからなかったのですが、ゲームの仕様に疑問を持ってから「なんで、ポケモンってボールに入るんだろう」などと考えていました。あれから数年が経ちましたが、いまだにゲームの仕様について考えてしまいます。あの時の科学と今の自分が思う科学や実際の科学とは少し違うかもしれませんが、日常の当たり前に対して疑問を持ち始め、それが科学への興味に繋がったのは確かです。

科学というものは身近に溢れた「なぜ?」を解決する学問だと私は考えます。それが例えインターネットで検索したり先生に聞いたりして知ることが出来る内容だとしても、なぜに対する答えを探求した時点で立派な科学だと思います。例えば、「なぜ、てんとう虫はあの模様なのか」「なぜ、お月様は眺める国によってうさぎに見えたり、カニに見えたりするのか」「なぜ、空は青いのか」などです。そして、これらのような普段見過ごして気にもしなかったものに対して考えることも科学としてとても大切です。この考え方は大人よりも小さい子供の方が得意だと思います。歳を重ね、経験が増えるとモノに意識して目を向ける機会が減ってしまい科学を理解しがたい難しいものとして敬遠しがちですが、身近な疑問について考えることの楽しさ、つまり科学への興味を引き出さないといけないと私は考えます。

私は現在iGEM TOYAKUやゲノムサイエンス研究部などのいくつかの理系に関係するサークル等に所属しているのですが、そのうちの一つに学生サイエンスコミュニケーター(以下、学生SC)があります。学生SCは私が上記で述べた、科学への興味を引き出す活動としてぴったりだと考えています。

科学について不思議だと感じたことに対して、中高生が「なぜ」と疑問を持ち、その「なぜ」について真摯に向き合い、自分なりに答えを出す。たとえ自分の力で解決できなくても、科学は楽しいものだと感じることが出来る̶学生SCの活動が、このような機会を増やし、今より多くの人が、科学をもっと身近なものだと捉え、最終的に近年話題になっている理科嫌い、理科離れの解決に貢献したいと考えています。